忍者ブログ
“Day by day, in every way, I’m getting better and better.” 「日々に、あらゆる面で、 私は益々よくなってゆく」 クーエの有名な暗示文です。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

例えば貴女が、それをそれと認識するのに、

必要とするものがわかりますか?


貴女は毎日、過去の経験、または知識、他人等と、今の自分を「比較」して、

貴女はそれを、それと認識しています。

何が正しくて、何が間違えているのか、そうやって、判別しているのです。

貴女は今日何か変だと感じたとします。

何が変なのか、経験と、知識とで判別します。

その結果、それが本当に「変である」のかそうでないのかを決めています。


ところがある日貴女は経験と知識と他人とを拒絶しました。

結果、比べることのできなくなった貴女は、それが正しいのか間違えているのか、

それがそれであるとわからなくなりました。

その瞬間から、狂気は始まるのです。



貴女の拒絶したものは時間や他人の言葉だけではなく、世界です。

世界を拒絶した貴女は、世界と戦います。

世界も貴女を拒絶するでしょう。

貴女がそうかもしれないと思ったその瞬間から。

それを否定してくれる言葉や経験や知識はありません。

貴女がそうかもしれないと思ったその瞬間から、

世界は狂った人間だけの集まりになるのかもしれないし、

人間なんて一人もいなくなるのかもしれません。

宇宙人で満たされていても変ではない。

「変である」と判断する基準を失った貴女は、

世界を敵だとみなしました。


ようこそ!理の無い世界へ!
ようこそ!ひとりぼっちの世界へ!



あたしが感じる限り 統合失調症とは そういうものの様です。
PR
処方が全般的に見直された。

原因はわかってる。

白い服の人に幻聴の事を伝えたからだ。

「苦しそうなおばあちゃんのような、鶏を絞め殺したような、赤ん坊が泣いているような、」

としか言えない、そんな声が、

ずっとあたしの頭の中で響くようになってどれくらい経ったろう。

あたしはそれを 薄気味の悪い自分を認めたくなくて誰にも言えなかったのだけれど、

とうとう言ってしまった。

口を割った理由は単純だった。

あたしにとって魔法だったレキソタンが効かなくなってきている事実があたしを動かした。

前回あたしは聞いた。

「あたしは何ですか?」

白い人は答えた。

「正直言って、まだ診断を下す段階ではないですが、ストレス性のものが起因するとしか・・」

だが今回、おそらく白い人は診断を変えたのだろう。

全ての処方は、今や統合失調症を示していた。


そういえば、病院からの帰り際先生が追いかけてきて、

診療室で何度も何度も言われた言葉を、

なぜかもう一度言われた。

「今回のお薬はとてもキツいので、少しでも合わないと感じたら絶対に飲まないでください!」

わかりました、と答えたけれど、あれはあたしにではなく付き添いの彼に伝えるためだったのだろうか。

信用されていないのだろう。


あたしは毎日言われたとおりに、黙って白い粒を飲み干す。

まだ声は聞こえるけど、これであたしの耳は正常になるのだろうか。

それらの声はまだ言葉をもたないけれど、

いつか言葉を手に入れたら、きっとあたしは罵倒されるのだろう。

怖くて怖くて怖くて仕方が無い。

赤ちゃんは、何て言ってあたしを罵るのだろう。

いつか見た悪夢のように、あたしの半身をもぎとっていくのだろうか。

さみしいとただ泣くのだろうか

あたしも一緒に来て欲しいと

一緒に逝こうと言うのだろうか。

どうか言葉を持つ前に この声が聞こえなくなりますように。

そう祈りながら 今日も白い粒をたくさん飲んだ。
福知山線事故で、なくなった男性と同棲していた女性が亡くなりましたね。

そのニュースを読んで昔のことを思い出しました。

あたしも同棲してもう6年だか7年だかになるのだけど、

同じように同棲している友達が居た。

彼女は彼氏とよく喧嘩をしていて、またその内容がしょーもない。

冷蔵庫のジュースを勝手に飲んだとかどうだとか。

よく愚痴を聞きながら笑ってしまって、怒られてしまった。

だが彼女は彼氏を本当に愛していて、大切にしていた。

彼女と彼は同棲4年程度で、もうそろそろ結婚か、と言われていたのを覚えてる。

そんなある日、彼は急に家に戻ってこなくなった。

心配した彼女は友達に電話して回るのだけれど、誰も知らないという。

近くでタバコでも吸っているのかと公園やらを走り回るが見つからなかったらしい。

結局彼は朝まで帰ってこなかった。

彼女は一晩中待ったそうだけど、泣きながらあたしに電話をしてきた。

「あたし、何かしたのかなぁ。あたし、何か・・」

これにはあたしも怒った。

いくらなんでも一晩連絡無しなんてやりすぎだ。

だが事実は違った。

その日、彼は仕事帰り、車で事故をした。

ほとんど即死に近かったらしく、病院に運ばれた頃には心停止していたそうだ。

だが必死で蘇生措置がとられ続けた。

免許証から実家に連絡が入り、家族がかけつけた。

生きて、生きてと家族が願う中、、完全に死亡が確認されたのは午前4時。

彼女が必死で探し回っていた時間だ。

結局、彼女が彼の死を知ったのは、彼の死の二日後の事だった。

たまたま彼の家に荷物をとりにきた彼の姉から事情を聞いたらしい。

そばにいてあげたかったと、

手をにぎりたかったと、

暖かい手を触りたかったと、

彼女は色んなことを叫んで泣いたらしい。


同棲なんて、そんなもんだ。

あたし達は繋がっているようで、毎日一緒に居るようで、

とても遠い所にいる。

だから毎朝送るときには、きちんとおはようといってらっしゃいを言ってあげたいし、

帰ってきたら今日も無事に幸せに抱き合える事を感謝すべきだ。

もし明日大切な人が死んだらって、考えて生きるのは変な気もするけれど、

意外と大切な事だと思ってる。

そばで眠る大切な人が、明日起きたら、

とびっきりの笑顔でおはようって言ってあげよう。




高校生だったある日、とても雲と空のきれいな良い日だった。

ひげもじゃの地理の先生が、
いきなり古ぼけたダサい目覚まし時計を大事そうに抱えてやってきた。

そして、
「とりあえずおまえら、これを聞け」
と言って勝手に時計を鳴らし始めた。

それは昔流行った、声が録音できるタイプのもので、
声で起こしてあげられるプレゼント、というとても恥ずかしいものだ。
おまけに軽く10年は経過しているのではないかという音質だし、
デザインもダサく、ひどく古ぼけて見えた。


しかも何より中身がひどかった。

「○○(先生の下の名前らしい)くん♪○○くん♪朝でちゅよ~♪
 おきて♪おきて♪おきて~♪」

新婚でなければできない恥ずかしい言葉の羅列。
声の主は女性で、とてもかわいらしい声だったが、
自分でも少し照れているらしく、聞いていてもわかった。

それを聞いて教室はドッと盛り上がる。

「ダセー!」「恥ずかしー!!」
様々な罵声が飛び交う。

盛り上がる教室内で、ひげもじゃ先生は苦笑いをしながら言う。

「まあそういうなよ。
 これはうちの嫁が結婚した当初にくれたものなんだ」

盛り上がる教室をそのままに、先生は続けた。

「そして、結婚して二年目に死んだ俺の嫁の、唯一の肉声だ」

教室は水を打った様に静まりかえった。

彼の奥さんは、結婚して二年でなくなったらしい。

誰もそんな事を知らなかったので、罵声を浴びせてしまった生徒達は、

非常に罰が悪そうだったし、すでに泣き出していた女子も居た。


「普段は家から持ち出さないんだ。本当に大切にしていて」

大事そうにさすりながら続ける。

「今も毎日、これで起きてる。」

しばらく教室が静まり返った頃、ある生徒がおずおずと聞いた。

「でも、あの、・・・それ・・辛くないですか・・?」

先生は優しい笑顔で答えた。


「辛いかもな。いや、当時は聞くのも辛かったんだ。でも・・

 毎朝、彼女を感じられるのは、今も昔も、とても幸せなんだ」
 と言って笑った。

 生徒達は何も言えず黙って先生を、古ぼけた時計を見つめていた。

「さっきも言ったように」

 いきなり毅然とした目で先生が語りだす。
「普段は持ち出さないんだ。だから今日これを持ってきたのは理由がある。」

 私達は黙って聞いた。

「私は当時貧乏で、彼女にろくに何もしてやれなかった。だが、彼女を愛していた。」
 
 先生は、苦笑いをして続ける。

「だがよく、彼女の話を聞いていないといって、怒られたものだった。

 亡くなる前日も、そんな事で喧嘩した覚えがある。

 そして、後になって気づくんだよ。
 
 大切な人との別れはいつも突然で、

 誰も教えてくれないって、そんな当たり前の事。」

 先生は優しい顔をしていった。

「だから、おまえらも、些細な事を、大切にしろ。

 大切な人が急に居なくなった時、
 
 そしてもう二度と会えなくなった時、
 
 そういう些細な事が、一番後悔するんだ」




あれからもう8年も経つ。

身近な人間が死んだことのなかったあたしにも、

とうとう父との別れが近づく。

あたしは先生の言葉をできる限り守りたいと今も思っていて、

最期の旅行を計画したり、振袖を着て見せてあげたりと、

父が喜ぶであろう些細な事を大切にしているつもりだけれど、

やっぱり何をしても、結局後悔はするんだろうな、とは思う。


ただ、小さな事をしてあげられなかった後悔だけは、なるべく少なくしたい。

そう思って、あたしは今日も生きています。先生。

どうして人と人はケーブルで繋がらないのだろう。


ずっとずっとそう思っていた。

そうすればどれだけ悲しいのか、どれだけつらいのか、

どんな気持ちなのか、どんなに憎いのか伝わるのに。

言葉や文章はコミュニケーションツールとして不完全すぎるし、

個々の能力差に頼りすぎる。

小説家の様な人は何が欲しいのか理由も含め的確に伝えるだろうし、
幼稚園児ならあれがほしいとしか言えないかも知れない。


むかしこんな話を聞いた。


生まれて一度も怪我をした事の無い二人の男が居た。

ある日一人の男は躓いて、生まれて初めて怪我をした。

血が出てすこしすりむいて、それはそれは痛んだ。

初めて血を見た男は、なんて痛いんだ!と驚き、

男は、もう一人の男の所にそれを伝えに行った。



もう一人の男は同じ日、りんごを取ろうと木に登っていて、不運にも落ちてしまった。

もう一人の男もその日、生まれて初めて怪我をした。

もう一人の男は骨折していて、それはそれは痛んだ。

初めて血を見た男は、なんて痛いんだ!と驚き、すりむいた男にそれを伝えようと思っていた。


丁度すりむいた男がやってきて、生まれて初めて転んだ事、生まれて初めて血が出た事、
それがどれだけ痛かったかを話した。

骨折した男はそれはそれはかわいそうにと心から同情したが、自分も今日木から落ちて、生まれて初めて骨折をし、
それがどれだけ痛かったかを話した。

すりむいた男はそれはそれはかわいそうにと心から同情したが、
生まれて初めてすりむいたので、きっと自分の方が痛かったに違いないと思い、そう告げた。

すると骨折をした男もそんなはずはない、こんなに痛いのだから、
自分の方が痛かったに違いないと主張した。

しかしすりむいた男もそんなはずはない、こんなに痛いのだから、
自分の方が痛いに違いないと主張し続けた。

結局ふたりはお互いに生まれてはじめての痛みだった為、
相手の痛みを知らない為、
比べる手段もケーブルもついていなかった為、
知識が無かった為、
相違えてしまい、それっきり疎遠になってしまったそうだ。

これはおとぎ話だけれど、事実こんな事は多々起こる。

経験の無い痛みは想像でしかない。
それを超えることはないし、比べることもできない。
ましてや他人の痛みなんて、わかったフリしかできない。


だから私達がケーブルで繋がりあわない限り、

私達は誰かの痛みを勝手に決めてはいけないし、
決め付けることなどできない。

自分も痛かったけれど、あなたもきっと痛かったのね、
とだけ言えれば、男達は相違えることもなかったのだろうけれど。

なかなかそれが、人には困難だ。
忍者ブログ [PR]
"俺。" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.