“Day by day, in every way, I’m getting better and better.”
「日々に、あらゆる面で、
私は益々よくなってゆく」
クーエの有名な暗示文です。
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「強烈な見捨てられ感から来るものですね。後発性か、または生まれ持ったものかもしれません」
白い服を着た、名も知らない人に言われた。
あたしには不定期にリセット期が訪れる。
唐突にやってくるそれは、私を世の中のほとんどから切り離す。
まず携帯が繋がらなくなり、そのうち電話もテレビも拒絶する。
片手で収まってしまうごく少数の「自分」以外を否定し、
それ以外は全て拒絶し、真っ暗な部屋に閉じこもる。
とすると、数ヶ月するとなんでもない様な顔をして
違う人間関係を作り始め、違う人生を歩みだす。
そしてまた全てから逃げ出す。
そんな事を何度繰り返してきたのだろう。
そこに過去の教訓なんてひとかけらも無くて、繁殖しすぎた醜い虫が一気に絶えるかの様に、
何も生み出さず、ただ果てる。
あたしはいつも恐ろしい。
あたしに向けられ放たれる嘘か誠かわからぬ言葉達。
きれいでふわふわしていて甘くて、
酔ってしまいそうになる言葉達が怖くてたまらない。
恋だとか、親愛だとかに限らない。
家族愛ですら正直よくわからない。
小さい頃、身を挺して私を守ってくれた母親を見て、ぞっとした。
この人は私に、何を望んでいるのだろうと。
私を愛してくれると言ってくれる、全ての名のつくものに疑問があった。
怖かった。
それをそれであると信じて、馬鹿めと見捨てられる日が怖かったのだ。
強烈に裏切られた記憶はない。
少なくとも、覚えては居ない。
子供の頃から大切に育てられた、らしい。
少なくとも傍目から見れば、そうだったのだろうと思う。
生まれもって、自分が変なのだとは思いたくはないのだけれど、
そうなのだ、という事にした方が、色々と安堵する人間の顔が浮かぶ。
「薬があまり効果を出していません。きっかけの様なものが、必要ですね」
名も知らない白い人は続けて言った。
「まずは、外に出ましょう。雲を見て、空を見る。それから」
何度も聞いた事のある言葉は、途中から聞こえなくなった。
耳がぱたんと、閉じてしまった。
あたしはこの、名も知らない人の目が嫌いではない。
あたしにさして特別な興味もない、
まるでベルトコンベアー上の商品を見定める様な目を見ると安心する。
おそらくこの人は、私に何の期待も、何の見返りも期待しては居ないからだ。
この、名も知らない白い人と私の間には、何も無い。
「お薬、これがリミット量です。お大事に」
名も知らない人は、心にもなく、言った。
「ありがとうございました」
あたしも、心にもなく、お礼を言った。
白い服を着た、名も知らない人に言われた。
あたしには不定期にリセット期が訪れる。
唐突にやってくるそれは、私を世の中のほとんどから切り離す。
まず携帯が繋がらなくなり、そのうち電話もテレビも拒絶する。
片手で収まってしまうごく少数の「自分」以外を否定し、
それ以外は全て拒絶し、真っ暗な部屋に閉じこもる。
とすると、数ヶ月するとなんでもない様な顔をして
違う人間関係を作り始め、違う人生を歩みだす。
そしてまた全てから逃げ出す。
そんな事を何度繰り返してきたのだろう。
そこに過去の教訓なんてひとかけらも無くて、繁殖しすぎた醜い虫が一気に絶えるかの様に、
何も生み出さず、ただ果てる。
あたしはいつも恐ろしい。
あたしに向けられ放たれる嘘か誠かわからぬ言葉達。
きれいでふわふわしていて甘くて、
酔ってしまいそうになる言葉達が怖くてたまらない。
恋だとか、親愛だとかに限らない。
家族愛ですら正直よくわからない。
小さい頃、身を挺して私を守ってくれた母親を見て、ぞっとした。
この人は私に、何を望んでいるのだろうと。
私を愛してくれると言ってくれる、全ての名のつくものに疑問があった。
怖かった。
それをそれであると信じて、馬鹿めと見捨てられる日が怖かったのだ。
強烈に裏切られた記憶はない。
少なくとも、覚えては居ない。
子供の頃から大切に育てられた、らしい。
少なくとも傍目から見れば、そうだったのだろうと思う。
生まれもって、自分が変なのだとは思いたくはないのだけれど、
そうなのだ、という事にした方が、色々と安堵する人間の顔が浮かぶ。
「薬があまり効果を出していません。きっかけの様なものが、必要ですね」
名も知らない白い人は続けて言った。
「まずは、外に出ましょう。雲を見て、空を見る。それから」
何度も聞いた事のある言葉は、途中から聞こえなくなった。
耳がぱたんと、閉じてしまった。
あたしはこの、名も知らない人の目が嫌いではない。
あたしにさして特別な興味もない、
まるでベルトコンベアー上の商品を見定める様な目を見ると安心する。
おそらくこの人は、私に何の期待も、何の見返りも期待しては居ないからだ。
この、名も知らない白い人と私の間には、何も無い。
「お薬、これがリミット量です。お大事に」
名も知らない人は、心にもなく、言った。
「ありがとうございました」
あたしも、心にもなく、お礼を言った。
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